DEPTH HOUSE
Setagaya-ku TOKYO

伸縮しながら広がる視線

世田谷区の住宅密集地にある旗竿形状の敷地に、1階を親世帯、2~3階を子世帯とした分離型の2世帯住宅を計画しました。建物の構成は空間を小さく区切ってしまわないことを考えました。機能諸室と畳室を北側に集め、南側には居間などの所要室を配置しました。北側は天井高をおさえ、南側では 天井高を高くとりました。結果生じるスキップフロアを利用し、子世帯は立体的なひとつ ながりの空間となりました。天井の低い畳室 やワークスペースは、安心できる小さな溜りになり、ワンルームでありながら空間の境界を感じることができます。また視線が移動することで空間の伸縮が体験できる生活空間となりました。内部では独立した空間を持つ親世帯と子世帯は、お互いを直接のぞき込まな い関係でテラスでつながっています。旗竿敷地の旗部を木製デッキで仕上げこの細長い場所に、張り出したテラスや点在する植栽、境界のスクリーンが参加し家の奥行きを生み出しています。東側隣地の木々に視線がぬけ、風が通過する街の隙間にもなっています。

『住宅建築』2005年1月号掲載

『住宅建築』2005年1月号 写真:永石秀彦写真事務所

DATA
所在地:東京都世田谷区
主要用途:住宅(2世帯)
家族構成:夫婦+子世帯
(夫婦+子供2人)
構造:木造在来軸組工法
規模:地上3階
延床面積:172.91㎡(52.93坪)
竣工年:2003年
協働:井上牧子、石井大